高麓ミッション
"最期まで自分らしく生きる"を増やす
『心に残る家族旅行』
「うちのおばあちゃん、ディズニーランドが本当に大好きだったの。」
3年前、高麓へ入居されたお客様(Y様)のお孫さんがおっしゃっていた言葉です。「家族旅行はおばあちゃんの希望でいつもディズニー!多い時には年3、4回行っていたかな。本人はもう忘れちゃったかもしれないけど。」
認知症になると、個人差はありますが記憶に障害をもたらします。Y様にも記憶障害がありました。高麓に入居された時は、ご家族の名前も言えませんでした。
しかしご家族の事を忘れてしまっていたわけではありません。なぜならご家族と一緒にいる時は、とても穏やかな表情をされ、優しくうなずいていたからです。
認知症になって記憶に障害が生じても、大好きだった人や景色、聞こえてくる音や声、肌で感じるもの、心で感じられるものはきっとある。そこで私たちは、Y様とご家族とのディズニーランド旅行を提案しました。
「施設へ入ったら、もう旅行なんて行けないと思っていた。」
涙ながらに言ってくれたご家族のこの言葉に、私たちはハッとしました。施設に入居すると、いろんなことを諦めてしまう方が実は大勢いらっしゃるのだということに・・・・・しかし本当は諦めなければならないことなどありません。どこで生活していても、どんな病気を患っても、その方の暮らし、人生に変わりありませんから。
ディズニーランド旅行を提案させていただいてから一ヵ月後、Y様はご家族と共に懐かしい「夢の国」にいました。ディズニーランドの音楽を聴き、好きだったアトラクションに乗り、何年か前と同じように、大好きなご家族と大好きな場所で素敵な時間をお過ごしになりました。
ところが、ミッキーマウスを目の前にした時、Y様は車椅子に座ったまま眠ってしまっていたそうです。ご家族が声をかけ、肩を叩いても、なかなか目を開けなかった時、ミッキーマウスがY様の隣にそっと膝間づき、手をさすりながら頬にキスをしてくれました。その瞬間にY様の目はパッと開き、そして驚いたY様の表情がとても、愛おしかったとご家族が教えてくれました。
Y様が夢の国の魔法にかかった瞬間です。
外出を諦めていたら、かかれなかった素敵な魔法を、Y様は再び体験することができたのです。
高麓では、「もうできない」という諦めではなく「どうしたらできるか」という考え方を大切にしています。『最期まで自分らしく生きる』を増やせるよう、全力で支援していきます。
『片道3時間の墓参り』
「山梨出身でお墓が向こうにある。死ぬまでにもう一度いきたいけど無理だよね」
高麓に入所されて間もない84歳のお客様がおっしゃいました。
その方は自宅に居た頃から体を思うように動かすことができず、痛みの為に10分と座っている事が出来ませんでした。
山梨のお墓までは、片道3時間はかかりそうです。
認知症になったから、体が思うように動かなくなったから、だれかの手を借りなければ暮らしていく事が難しくなったから、だから、諦めなければいけない・・・わがままを言ってはいけない・・・?
そんな事はありません。
孫の名前を思い出せなくても、今いる場所がわからなくなっても、体が思うように動かなくても、本当は誰もが最期まで自分らしく生きたいと思っています。
そして私たちは、全ての人に最期まで自分らしく生きて頂きたいと考えています。
「なんとしても墓参りの夢を叶えたい」
まずは10分しか起きられなかった時間をスタッフがお手伝いしながら伸ばしていきました。
15分、30分、1時間、2時間、3時間と起きていられる時間は少しずつ増えていきました。
そして、お墓までの道のりを調べ、ご家族の理解と協力を得ながら思い出のお墓参りの計画を立てていきました。
半年後、そのお客様は山梨のお墓の前で手を合わせていました。その傍らで高麓のスタッフも静かに手を合わせました。
わたしたち高麓のミッションは、全ての人が最期の瞬間まで「自分らしく生きる」そんな社会の実現の為、価値ある介護サービスを創造していくことです。そして高麓に関わる全ての人の幸せに貢献していきます。